この恋、きみ色に染めたなら
『………紗希。特に大きな怪我もなくて良かったけど。
事故なんてやめてほしいわ…私たちの残り少ない寿命をどれだけ短くしたと思ってんの!』
いつもの優しいお母さんとは違って、今のお母さんは少し怖かった。
それだけ私がお母さんを心配させていたっていうことなんだろうな…
『………ごめんなさい……』
お母さんに謝ると、お母さんは私の傍に寄ってきて、私の頬を撫でた。
それは言葉とは違って、とても優しい触れ方でに何故か私はその優しい触れ方に心の奥がじーんと温まる気がした。
『……良かったよ……こんなに温かい頬に触れることが出来て……。
紗希の顔が見れて……紗希と話すことが出来て……本当に良かったよ……』
お母さんの目からは涙が溢れていて、私は手を差し伸ばす。
お母さんはその手の握りしめて、いくつもの涙を流していた。
『……紗希……感謝なさい。
こちらの方が救急車を呼んで、止血してくれたから、お前はこうして生きてるんだからな……』
お父さんも涙混じりの目で、成田先輩を見つめ、そして静かに話し始めた。
『……あ、いえ…もとはと言えば俺』
『先輩……ありがとう……』
私は先輩の言葉を遮り、先輩にお礼を述べた。
そんな私を先輩は驚く顔をしたけど、私は先輩に微笑む。
『………お父さん…お母さん……。
私……先輩、私を助けてくれた…ヒーローなんだ……。
私の……一番……大好きな人……』