この恋、きみ色に染めたなら







私の言葉にお父さんとお母さんは顔を見合わせ、そして成田先輩の方に目をやる。



成田先輩はすごく緊張している顔をしていたけど、私のお父さんとお母さんに頭を下げた。










『紗希さんと同じ高校に通ってます、成田 肇と申します。

 先程の会話を聞かれてしまったと思いますが……僕も真剣な想いで紗希さんとお付き合いをしていきたいと思っています。

 あの……紗希さんにも、紗希さんのご両親にも安心してもらえるようなお付き合いをしますので、紗希さんとのお付き合いを認めていただけたら…と思います』








いつもの上から目線の先輩はどこにもいない。




先輩の頭を下げる行為も、先輩がお父さんやお母さんに話す言葉も、全部、なんだかんだ言って誠実な対応をする先輩らしい、そう思った。






先輩の言葉に、やはりお父さんとお母さんは顔を見合わせていたけど、二人して吹き出し始めた。












『………お父さん?……お母さん……?』





私は顔を見合わせて笑っている二人を呼びかける。



先輩は頭を上げ、笑っている二人を見て交互にお父さんとお母さんの顔を見つめている。




“なんで笑われてるんだろ”って思ってるんだろうな……




いや先輩だけじゃなくて私もどうして笑っているのか謎だけど……。















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