この恋、きみ色に染めたなら








『………先輩……?』








『俺、もう少しで18だし。

 紗希は?もう16になった?』








『……まだ15です……』







『そっか。じゃ、お楽しみはもう少し先に取っておくか』






先輩はそう言って、笑っている。





でも、私……全然、笑えないよ……。








だって、先輩が少しでもそんな風に考えてくれているんだって思ったら……






嬉しくて。嬉しくて。幸せすぎて。








私の目からはまた涙が零れ落ちる。










『また俺のこと、好きすぎて泣いてんの?』




先輩は困ったように微笑みながら、その細長い指を私の目尻に添える。



器用に私の涙を指で掬い、私の頭をポンポンした。








『俺、お前にも、お前の親にも絶対に幸せにするって約束してんだからさ。

 頼むから、俺のことが好きなら笑ってよ?』









『………泣いてなんか……泣いてなんかないです……』





先輩はクスッと笑って、窓に視線を移した。









『ばーか。泣いてるって。

 でも、幸せで泣いてるんならいいけどね』





窓ガラスに映る先輩の顔はとても優しい顔をしていた。








先輩、人は悲しい時や辛い時だけじゃなくて、心から幸せだと思える時も泣けるものなんですね……。






先輩に恋をして、私はそんなことを知ったよ。









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