この恋、きみ色に染めたなら





夏休みの間は成田先輩の夏期講習のおかげで少ししか会えなかったけど、今日はこれから先輩の絵を観に行く。









『……展覧会っていうから、落ち着いた服装で行った方がいいよね……』






クローゼットから何着も出した洋服がベッドに広げられていて、私は一番無難なワンピースを着て、出かけることに決めた。









『子供っぽい服で行って浮いても仕方ないしね……』





いそいそと着替え、そして軽くメイクをし、携帯の画面を見つめる。







“紗希ー!私、そろそろ駅に着くよ”




と、凪からのメッセージが入っていて、私は慌てて部屋を飛び出した。








まだまだ蒸し暑い8月の終わりー……




私は慌てて駅に着くと、凪はアイス肩手に既に待っていた。










『……ごめん!凪!』





私は両手を顔の目の前で合わせ、凪に謝罪する。








『えー紗希、遅れてないよ?

 私が早く出過ぎちゃっただけだよー』




と、笑いながら答える凪。




に、私は苦笑い。






この暑いなか、必死に走ってきたのになー……










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