この恋、きみ色に染めたなら
『紗希、めっちゃ楽しみでしょ?』
会場となっているホールまでの道のりで凪がニヤけた顔で問いかけてくる。
『……まぁ。うん……』
『もー照れちゃって。彼氏が描いた絵なんだから“超楽しみ”とか言っていいんだよ?』
凪の“彼氏”の言葉に私は頬を赤らめる。
なんか人から“彼氏”とか言われると、なんだか嬉しいし照れる……
『………うん、すっごい楽しみ……』
照れて話す私を凪は肘で小突いてくる。
その顔は先ほどよりもニヤけているのに、私は更に照れてしまう。
『ま、でも紗希が幸せになってくれて、私も嬉しいよ!
紗希から“付き合うことになった”って連絡をもらった時は本当に泣いたよ、私』
凪には色々と心配もかけたし、きっと迷惑もいっぱいかけたよね……
だからこそ凪には一番に報告したくて、すぐに報告しちゃったんだけど。
『凪、色々とごめんね。
でも、私は凪が居てくれたから諦めずに想い続けてこられたんだと思う。
本当にありがとうね!』
『……もうやめてよね!
友達なんだからさ!心配すんのも当たり前だし、応援すんのも当たり前!
てか、照れるし!あ、てか、もう会場だよ!
ほら、彼氏の絵、見ておいで!』
凪は私の背中を一発、思い切り叩く。
その反動で私はホールの入口に倒れそうになりながらも入った。
『あれ、凪は?』
私が入ってもなかなか入らない凪に私は問いかける。
『私はもう見させてもらったからねー。
それに……あ!これは言わない約束だった!』
『………約束?』
『…まぁ、いいから!早く見てきな!
会場に入ったら、ずっと真正面のところにあるからさ!』
凪はそう言うと、手をシッシッと私をまるで払いのけるかのように動かす。