この恋、きみ色に染めたなら
両手を重ねて、口元を覆う。
けれど、私は嬉しさのせいか体が震える。
震える度に、この目からは涙が頬を伝っていく。
『…………すごい……すごいよ…先輩………』
言葉と共に涙がいくつもいくつも流れていき……
どれくらい私はそこでそうしていただろうー…
『また泣いてる』
聞き覚えのありすぎる、私の大好きな人の声がして、私はその場で振り返った。
そこには私の大好きな成田先輩が立っていて……
『どうして紗希は俺がすることで泣いてばっかなんだろうな……』
その言葉を言い終えた後で、私の所へと歩み寄ってくる。
そしてすぐ目の前まで来たところで、先輩は私を見て、視線をすぐに絵の方に向けた。
私は先輩の横顔を見つめる。
『…あ、そっか。この意味に気が付いてか。』
先輩はそう言って自分の絵を指さす。
『………え………?』
私はその指から絵を見つめる。
『ここ』
椅子に腰かけて微笑む私を指さす先輩の、その細長い指先が最後に辿り着いた所……
『…………え…………?』