この恋、きみ色に染めたなら








先輩が指さした場所…






そこは絵の中の私の左手……










『………………指輪………?』







絵の中の私の左手の薬指にはシルバーリングがはめられていて……




私はその絵を見て、そう呟く。











『なぁ、紗希……』




未だ絵に夢中になっている私を先輩が呼びかける。




私はその声に気が付き、先輩の方に顔を向けた。














『この指輪、気に入った?』






先輩の顔、真正面には小さな箱が開けられていて、そこには絵の中の私が身につけているシルバーリングと同じものが入っていた。






一瞬、なんのことか分からなくて。




先輩の目を見つめると、先輩は緊張のせいなのか顔が強張っていて……











『……指輪………』







『指輪。紗希は俺のものっていう証』






先輩はそう言うと指輪を小箱から取り出す。



取りだした指輪を親指と人差し指で持ち、






『紗希は俺のもの?』



と、問いかけてきた。






私は突然のことながら、うろたえながらも先輩の言葉に首を何度も縦に振った。





本当は口で伝えたいところだけど、それがうまく出来なくて……







それでも先輩はニコッと笑って、その指輪を私の左手の薬指にはめてくれた。

















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