この恋、きみ色に染めたなら










『ねぇ、先輩……。

 私ね?紗季さんと先輩と幸せになるって約束したの。

 私、すっごい幸せだから…紗季さんにお礼がしたい…』








『……紗季?』








『……私を助けてくれたのは紗季さんなんだ。

 私を先輩の元に帰してくれたのは紗季さん、だからお礼がしたいの。

 紗季さんのところに私を連れて行ってもらえませんか?』







私の言葉に先輩は私を開放し、そしてニッコリと微笑んだ。









『いいよ。紗季のところに行こう。

 俺も紗季に言いたいことがあるから』






先輩はそう言うと私の手を引いて、歩き始めた。






私は先輩の背中を見つめながら、それでも今までとは違う気持ちになる。






今まで先輩が私を手を引く時は、私を紗季さんだと思っているからじゃないかとか考えていたけど。





今は違うー……






今は、私を、古里紗希の手を引いてくれているんだって信じられる。









ねぇ、先輩。



先輩の気持ち、先輩の想いを私は信じるから。



だから私が信じられるように、いつも私の傍にいてね、先輩?










< 317 / 324 >

この作品をシェア

pagetop