この恋、きみ色に染めたなら
『ねぇ、先輩……。
私ね?紗季さんと先輩と幸せになるって約束したの。
私、すっごい幸せだから…紗季さんにお礼がしたい…』
『……紗季?』
『……私を助けてくれたのは紗季さんなんだ。
私を先輩の元に帰してくれたのは紗季さん、だからお礼がしたいの。
紗季さんのところに私を連れて行ってもらえませんか?』
私の言葉に先輩は私を開放し、そしてニッコリと微笑んだ。
『いいよ。紗季のところに行こう。
俺も紗季に言いたいことがあるから』
先輩はそう言うと私の手を引いて、歩き始めた。
私は先輩の背中を見つめながら、それでも今までとは違う気持ちになる。
今まで先輩が私を手を引く時は、私を紗季さんだと思っているからじゃないかとか考えていたけど。
今は違うー……
今は、私を、古里紗希の手を引いてくれているんだって信じられる。
ねぇ、先輩。
先輩の気持ち、先輩の想いを私は信じるから。
だから私が信じられるように、いつも私の傍にいてね、先輩?