この恋、きみ色に染めたなら
『紗希、ほら、忘れもん』
そう先輩が差し出した、生徒手帳…
落とした、そのことさえ気付いていなかった生徒手帳。
どこで、どんなタイミングで落したんだろう…なんて冷静に考えられない程、女子の視線が痛すぎる…
『……あ……ありがとうございます……』
私は周りの視線に怯えながらも、その生徒手帳を受け取る。
『お前さ、忘れもんとかやめてくれる?
なんで俺がお前の教室まで届けなきゃいけないわけ?』
ありえない、とでもいった顔を見せる先輩…。
でもね、先輩?
どう考えても、今のあなたの方がありえないです!
生徒手帳、放課後会う時でもいいじゃないですか!