この恋、きみ色に染めたなら
先輩はクラス中を凍らせたにも関わらず、
『じゃ、放課後にな』
それだけ言って、そのまま教室から出て行った。
先輩が教室から見えなくなった瞬間、目の前に座っている凪の視線が私に向けられた。
凪の口はパクパクと動いていて、私は凪の言葉を待った。
『て、てかさ!
紗希、成田先輩の絵のモデルって何!?』
でもそれは待っていた凪からの問いかけではなく、クラスメートの女子からの問いかけだった。
『てか!てか!なんで、どうして!?
なんで紗希がモデルなんて頼まれてるのー!!?』
『いつ、どこで!!?』
『どんな風に先輩から頼まれたの!!?』
一人の問いかけに、次から次へと新しい問いかけが私を突き刺す。
『………えっと…………』
どこからどう話せばいい…?
てか、そもそもな話、具体的にお話を出来るようなことは一つもない。
どうしよう…
どうしよう…
『あ、あたし!』
そう大声で叫んだのは、凪ー…