この恋、きみ色に染めたなら
『まぁ……成田先輩と特別親しい仲って訳じゃないなら…いいんだけど』
クラスの一人がそう言うと、みんなはぞろぞろと自分の席に戻り始めた。
その様子を見ていた凪は、自分の席で大きいため息を吐いた。
『凪、私のために…あり』
『そんで、本当のところはどうなのよ!?』
凪に向けた、“ありがとう”の言葉。
凪の耳に入ることもなく、私の“ありがとう”はどこへ…
『紗希、本当に成田先輩の絵のモデルをやってるの?』
それは好奇な目で、興味津津といった顔で、私は問いかけられる。
親友の凪に一部始終を報告すると、凪は呆気にとられたような顔をしていた。