この恋、きみ色に染めたなら
一回で分かれって…。
そんなこと突然言われて、“はい、分かりました”なんて言えなくない?
言えないのは私だけ?
物分かり良くないのは私だけ?
『じゃ、バイバイ、紗希』
そう彼は手を顔の横に立てて、笑顔を見せる。
私の返事を聞かない、
新しい彼女と腕を組んで歩き出す、彼の背中を見て、私は静かに涙を流す。
分かってた。
分かってたんだ。
彼と恋をするということは、涙を流さない、そんなことはあり得ないって。
むしろ彼と付き合うということは、それはすなわち泣いてもいい覚悟がなければならないことを。
分かってた。
そんな覚悟する前から泣いていたけど。
でも、それでも私は彼に必死で恋をしていたんだー…