この恋、きみ色に染めたなら
『……凪…?』
呆気にとられたような顔をしている凪に、声をかけてみるも凪からの返事はない。
『なーぎー!』
もう一度、凪の耳に近くまで顔を近づけ、大きめの声を出して、彼女の名を呼ぶ。
『……わ!……ビックリした…』
私の問いかけにかなり驚いたのだろうか。
凪は驚きの顔のまま、私を見つめてくる。
『てかさ、紗希。
恋を色で例えるなら何色って……それが初めての会話で、よく絵のモデルなんて引きうけたよね…?』
そう、そうなの、凪!
私、まだ一言も“引き受けさせていただきます”なんて言ってない…。
言ってないんだけど、何故か今日の放課後も美術室に行かなきゃって思ってたりする自分もいる…んだよね…。