この恋、きみ色に染めたなら
そして放課後。
『紗希、素敵に描いてもらいなさい♪』
親友の凪は気持ち悪いくらいのニヤケ顔で私を見つめ、そう言葉にする。
『なんなら、比呂につけられた傷を成田先輩に癒してもらいなさいな♪』
…………凪、完全に楽しんでる…。
先輩に癒してもらうとか、あの人は人を癒すとか、そんなキャラじゃないし。
ただの絵を描く人とモデルっていう関係だし、
『凪、私と先輩はモデルと描く人!
変な期待を持たないでね!』
私はそれだけ言って、机の上の鞄を持ち上げ、そのまま教室の出入り口に向かって歩き出した。
その私の背後からは、
『紗希、いってらしゃい♪』
……なんて、凪の言葉が聞こえる。
私は振り向くこともせずに、そのまま教室を後にした。