この恋、きみ色に染めたなら
*ケーキと先輩
重い足をなんとか動かして、辿り着いた美術室前。
『はぁ~…気が重い……』
美術室の前、たった一人だからこそ吐けるため息。
やっぱり…絵のモデルなんてやめようかな…
そうだよね、別に私から絵のモデルをやらせてください、なんて言ってないし。
それに朝みたいなこと、もう勘弁だよ…
『はぁ~…』
ガラーーー
私のため息の数秒後に、美術室の扉が勝手に開いた。
と、目の前に現れる成田先輩。
『遅いんだけど!
てか遅れた上に入り口でため息をつくの止めてくれる?
すっげー描く気、失せるから!』
わわわわわわわ…!
またまたものすごい近距離に成田先輩の顔、しかもめっちゃキレてる感が満載なお顔が…
『………すみません……』
気がつけば、私は先輩に謝罪をしていて…
確かに時間に遅れた私が悪いけど。
ため息をついてしまったのも悪い、かもしれないけど。
でも、その原因はあ・な・たですよ!!
ここに来るの、
絵のモデルも、
先輩に会うのも、全部憂鬱、なんだもん…。