この恋、きみ色に染めたなら
第1章
*氷の美男子
もう見えなくなった彼、いや元彼と世間ではいうべき相手、それとその彼女。
見えなくなって、私はその場に力なく座り込んだ。
見えなくなって、座り込んで、もっと涙は溢れてきた。
『……………好き……なのに………』
どうしてあんな言われ方をしたというのに、それでも私は彼を好きなのだろうか。
何度も脳に、心に問いかけるも、私の中にあるのは理由じゃない、彼を好きだという想いだけ。
問いかけるだけ無駄、それでも私の涙は止まってはくれない。
『ね、あんたの恋、色で例えるなら何色?』
ふと、そんな声が背後から聞こえて、涙でぐちゃぐちゃな顔のまま振り向いた。
こんなにぐちゃぐちゃな顔なんだ、声をかけた人だってすぐに立ち去る、そんな風に考えていたのに…
振り返った先には、3年の成田先輩が立っていた。