この恋、きみ色に染めたなら
でもでも…!
そんなことを言われても、先輩が何故“私なら描ける”そう思ったのかについては明かしてないじゃん…!
『先輩…!
昨日も私の顔が必要だ…的なことを言いましたよね…!?
それで…今日は“私なら描ける”って……どういう意味ですか?』
私の必死な問いかけに、先輩はクスって意地悪く笑う。
『全部、確かに俺が言った、けど紗希に詳しく言う必要はないでしょ』
『……でも!私はモデルを依頼されたんです…!
どうして私なんかに依頼をしたのかくらい…聞く権利は私にだってあります…!』
『俺は詳しく説明するとか面倒なの。
俺の頭の中にお前を選んだ理由があんだから、それでいいじゃん?
紗希は黙って俺の絵のモデルをやってくれてればいいから』
先輩はそれだけ言って、一人でキャンバス等を美術準備室に運ぶ。
俺の頭の中に選んだ理由があるから、それでいい……って…。
そんな返事に納得できるわけないじゃん…!
てか…先輩、性格悪い!!
…そう心の中で先輩に叫ぶものの、先輩は何事もなかったように鞄を肩に掛け、そして私の方に視線を向けてきた。
『………な………な、なんですか…!』
『お前、ケーキ好き?』
…うん?
突然の先輩の質問に私は一瞬戸惑う…
理由が理由になってない、なんて思ってたら突然ケーキが好きかなんて……
てか…今日は絵はいいのかな……?