この恋、きみ色に染めたなら
先輩に手を引かれ、着いた所。
少し古そうな建物、多分雑誌とかに載るような感じのお店ではない外観。
それでも、何故か品のあるお店で、私はそのまま先輩とお店に入った。
『あら、肇!』
ここの店主だろうか。
先輩の顔を見て、嬉しそうな顔を見せながら、先輩の名前を呼ぶ。
『真理子、久しぶり』
先輩も嬉しそうに、店主にそう声をかける。
『あら、肇、そちらの可愛い子は?』
思わず店主の言葉に驚いてしまう…
いやいや…だって、私なんかより店主さんの方がすっごい綺麗で…なんていうか大人の女性だけが持ち合わせている品のある、それでいて色気もある、そんな美しい人…
私が店主に惚れ惚れしていると、先輩は私の手を離した。
先輩の歩くスピードに追いつくためには、いや一緒に歩くためには手を繋いでいなきゃダメで…
だから、すっかり手を繋いでいたことを忘れていた。
『もしかして…肇の彼女?』
店主はニヤケた顔でそう先輩に問いかけた。
『真理子、俺にはそういうのが必要ないって知ってるだろ?
こいつはただの俺の絵のモデルだよ』
先輩がそう店主に答えた時、店主の顔が一瞬曇ったー…
ほんの一瞬、本当にすぐの出来事だったけど、私は見逃さなかったー…