この恋、きみ色に染めたなら
『絵のモデルね、すっごい可愛いから彼女かと思っちゃったわよ』
彼女ってー…
先輩のあだ名は、“氷の美男子”。
そんな先輩を狙ってる女子はどれだけいるって…。
そんな人の彼女なんてあるわけがない!
『俺は、俺には必要ない。
そういう特定の奴も、そういう感情も。
ただ好きなように描ければ、俺はそれだけでいい…』
そう言った先輩の顔はどこか悲しそうで…
それを聞いた店主も言葉に詰まった様子で…
私は二人の顔を交互に見つめていた。
そして店主の顔を見ていた時、ふと店主の後ろにある棚の左端に一枚の写真が飾られているのが目に入った。
セーラー服を着ている女の子、それから横には学ランを着た男の子、そしてうちの学校の制服を着ている女の子ー…
私はそっと、その写真がもっと見えるように店主の方へと歩み寄っていく。
そんな私に気がついたのか、先輩は私の手を取り、そのまま店の一番奥の席まで私を誘導した。
写真…見ちゃいけないものだったのかな……?
先輩は席までくると、私をソファーに座らせ、そして先輩は私の向かいに座った。