この恋、きみ色に染めたなら





席に着くなり、先輩は無言で私にメニューを差し出す。





『あ、ありがとうございます……』





私は差し出されたメニューを受け取り、中身を見る。




どれにも見ているだけで美味しさが伝わってくるような写真がついていて、私は困ってしまった。




チーズケーキ、でもイチゴのショートケーキも美味しそう…









『まだ?』




真剣に悩む私に先輩は冷たく、そう聞いてくる。








『チーズケーキかイチゴのショートケーキ、どちらにするかで悩んでて…』







『ガトーショコラ』








……へ……?




ガトーショコラって、今、先輩言った?







『ガトーショコラがおすすめなんですか?』





私が聞き返すと、先輩は“多分ね”と答えて、店主を呼んだ。






いやいや!


ケーキは先輩おすすめのガトーショコラでいいけど、飲み物はまだ決まってないよ…!?





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