この恋、きみ色に染めたなら
『真理子、この人にガトーショコラの紅茶セットを一つ』
ん?
先輩、今ガトーショコラの紅茶セットって言いました!?
紅茶は好きだけど……今の気分は紅茶、というよりも…
『それとチーズケーキとイチゴのショートケーキのプチサイズを添えといて』
心の中で呟く私の耳に、先輩の追加のオーダーが耳に入ってきて…
チーズケーキとイチゴのショートケーキのプチサイズって…
それって私が悩んでたケーキ、だよね…
私は目の前に座る先輩を見つめる。
先輩はすぐに私の視線に気が付き、メニュー表を片づけながら、相変わらずの面倒くさそうな顔をしながら私を見つめ返す。
『先輩、今の…チーズケーキとイチゴのショートケーキって、もしかして私が悩んでたから…ですか…?』
先輩に問いかけながら、“違うけど”なんて言われたら…
“自惚れ女”と思われたらどうしようとか…
いろんなことが頭の中を過るけど、私は先輩から視線を反らさなかった。