この恋、きみ色に染めたなら
『俺にも一口、頂戴?』
先輩はそう言って、何食わぬ顔をで私の使ったフォークを奪い取り、ガトーショコラを突き刺していく。
そして、それを自分の口に運んでいく。
『………先輩…それ………』
“私が使ったやつ”と言おうとしたけど。
私の言葉に先輩は私を見つめる。
もごもごと動いてる口、先輩からは言葉が出せない状況で。
『………なんでもないです……』
私はそう言うなり、視線を下の方にずらしていく。
『フォーク、変えてもらう?』
先輩の問いかけに私は急いで顔を上げる。
再び合った、先輩の目。
さっき見せた悪戯っ子のような顔をして、私の顔を見つめている。