この恋、きみ色に染めたなら
お店を出てからも先輩はひたすら歩いていて。
私はそんな先輩をひたすら追いかける。
途中、駅が目に入る。
いつもならこの駅から電車に乗って帰るはず、でも今日は、いや今は先輩になんて言って帰ればいいのか…
と、いうよりも先輩を残して帰ってしまってもいいのか…。
それよりも、先輩は今、私の存在を覚えているんだろうか。
確実に私の存在を忘れられてるような、そんな気がする。
どうしよう…
どうしよう…
とりあえずこのまま先輩について…
って、無理!
普段の先輩のスピードだって手を引かれてなきゃ追いつけないのに、いつもより早足の先輩に追いつけっこないよ…
どうしよう……
えーい!
もう、叫んじゃえ!!
私は大きく息を吸って、
『せーんぱーいッ!!!』
ありったけの声を出した。
私の声に、先輩は歩く足を止め、私の方へと振り返る。