この恋、きみ色に染めたなら
『……でも……いつもの先輩らしくないですよ…?』
私がそう発すると、
先輩は無言で私に近づいてきて…
私の手を掴み、そのまま引いていく。
近くの電柱まで手を引かれたと思えば、電柱に私の体を押し付けた。
そして私の手を引いている腕とは逆の先輩の腕が電柱に添えられ、先輩の顔が思いっきり私に近づけられる。
『俺のことは詮索するな、って最初に忠告したよな?
お前には関係ない、だから知ろうとすんな』
あまりの近距離にある先輩の綺麗な顔。
今はその顔に相応しくない、そんな目をしてる。
この冷たい目、どうして私をそんな目で見るの…?
ただ、疑問として聞くことをしてはいけないの…?
関心がある人、その人のことを知りたい、そう思うこともダメなの…?