この恋、きみ色に染めたなら
『……分かりました…!
先輩と私は……モデルとそれを描く人、それ以上の関係でもありませんから!
もう…聞きません…!』
私が言いきると、先輩は少しだけ顔を離す。
『紗希、お前が俺の言葉に忠実な女で助かったよ』
先輩の言葉を忠実に守りたい、とか。
そういう女でいたい、とか。
そんなこと、思ったこともない…。
でも、でもね…
言いきった後の先輩の少しだけ悲しそうな顔、それを見て思ったの。
忠実な女でいたい訳じゃない。
先輩の言いつけどおりにしたい訳じゃない。
ただ、先輩の傍にいるためには、それしか方法がないー…
それだけは、確信したー…