この恋、きみ色に染めたなら
異常なまでの歓声に、私も凪もクラス中に視線を向ける。
どうやら歓声を上げている女子達の原因は、教室の出入り口から教室内を見渡している成田先輩が原因だったらしい。
そのことに気付いた私は先輩の視線に入る前に、静かにその場を離れようとする。
今、先輩の顔、見れない。
見れない?
見たくない?
見られたくない?
どの想いが一番かなんて分からないけど、それでも先輩に見つかりたくなくて。
そっと、歓声を上げている女子達に隠れながら、先輩とは逆の出入り口の方までやってきた。
教室の出入り口から廊下に出ると…
『紗希』
会いたくない人の声が耳に届いた。