この恋、きみ色に染めたなら
そんな彼を前にして。
私はただ口を開けて、先輩を見つめているしか出来なくて。
『シカト?
俺の話、聞こえなかったわけ?』
再び成田先輩から問いかけられ、私は何度か首を横に振った。
一応、聞こえてます…
それを表したつもり、だったんだけど。
先輩は怪訝そうな顔で私を見つめる。
『は?それが返事?
俺は何色って聞いてんだけど』
さすが、氷の美男子…
この射るような強い瞳、その瞳に奪われて私は目が離せなくなる。
何、この目力…
『だから聞いてる?』
もう一度、彼に問いかけられ、私は“あ…はい”とだけ答えた。