この恋、きみ色に染めたなら
『………先輩、私…あの』
ーードン
『きゃッ!』
私の言葉を遮るように、誰かが私にぶつかり、その反動で私も誰かにぶつかってしまった。
私にぶつかった人はスマホをいじっていて、私に気付かなかったようだ。
そして私がぶつかってしまった相手は美術部顧問の柳先生だったみたいで、柳先生が運んでいた画材が床に散らばってしまったようだった。
『……先生!ごめんなさい!』
私は慌てて、柳先生に近寄り、倒れた柳先生に手を差し出す。
『ごめんなさい…私もきちんと前見えてなくて…』
柳先生は私の手を取り、そして一緒に立ち上がった。
『先生、怪我とかしてませんか?』
『私なら平気よ、頑丈な女ですから!
それよりも画材が……』
私は慌てて散らばった画材を拾い上げ、段ボールにいれていく。
全部入れ終わったところで、私は柳先生を見つめ、
『本当に私の不注意で申し訳ありませんでした…』
そう、謝罪した。
すると、柳先生は、
『反省してるなら、これを美術室準備室まで運ぶの、手伝ってもらおうかな?』
と、優しく微笑みながら、そう言った。