この恋、きみ色に染めたなら







『先生、美術準備室なら俺が運びますよ』





先輩は間髪いれずに、そう言う。






…そういえば…





“美術準備室には入るな”、そう先輩言ってたっけ…。







『あら成田君が?
 それなら成田君には職員用玄関のところにある、もう一つの段ボールを持ってきてもらえると嬉しいなー』





柳先生に言われ、成田先輩は渋々といった顔で返事をした。




でもその後で、私の手を引いて、





『お前は美術準備室に入るな!
 俺が美術準備室に着いたら代わる、だから絶対に入んな!』





…そう言った。






どうして先輩はこんなにも私を美術準備室に行かせたくないんだろう…




美術準備室に入ってはいけない、その理由はなんなんだろう…







『……先輩、どうして入っちゃダメ、なんですか?』



『そんな理由なんかねーよ。
 ただ入られたくない、それだけ。
 だから絶対に入んな、いいな?』






先輩の目は強くて、


だから先輩の美術準備室に入られたくない、その想いだけは伝わってくる。





だから、美術準備室には入らないようにする。


先生に何を言われても、先輩が来るまでは入らないようにする。






そう、心に決めたー…








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