この恋、きみ色に染めたなら





先輩が私の手を離し、階段を下りていく。




その姿を見届けた後で、私は柳先生の持っていた段ボールの一つを両手で持ち上げる。







『ごめんね?
 朝のHRには間に合うようにするから』




柳先生の言葉に頷き、柳先生の後に続いて階段を上り始める。






階段を上り終わり、美術準備室までの道を柳先生と肩を並べて歩く、その途中で柳先生がクスクスと笑い始めた。





『…柳先生、どうかされたんですか?』



私が問いかけるも柳先生は私をニヤケた顔で見つめてくる。







『ごめんごめん。
 確か…一年の古里 紗希さんよね?
 古里さん、彼と付き合ってるの?』





ニヤケ顔の柳先生から発せられた、ありえない問いかけに私は全力で首を横に振って否定した。







『……違いますよ!』



私がそう口にして、否定するも柳先生はクスクスと笑い続けている。








『……ただ、先輩の絵のモデルを引きうけてるだけ…』



そこまで言ったところで、言葉は止まる。





私が先輩と上手く顔を合わせられなかったのが原因で、先輩からは“モデルも無理だな”って言われたんだよね…




ってことは、今日の放課後から来なくてもいい、そういうことかな…?







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