この恋、きみ色に染めたなら
柳先生は美術準備室に入ってすぐ左側にある机に画材が入った段ボールを置く。
『古里さんも入ったら?』
柳先生にそう言われたけど、まだ先輩はここに到着していない。
先輩には“見るな”とは言われていないけど“入るな”とは言われている。
『………すみません。
先輩とここには入らない約束なんで……』
私がそう伝えると柳先生は少しだけ悲しい顔を見せる。
私は柳先生の顔が変わったことに首を傾げる。
先輩との約束、その約束が何故、柳先生を悲しい顔にさせているのかー…
『……柳先生…?』
私が柳先生を呼ぶと、柳先生は静かに美術準備室に置かれた、クッションのある方の折りたたみ椅子の前に移動した。