この恋、きみ色に染めたなら
『何その間抜けな返事。
俺、待たされんの嫌いだから、即答出来ないならさ?
さっきの質問、答えてくれなくていいから』
先輩は踵を返して、元来た道へ戻っていく。
比呂もそうだけど、なんで私の前に現れる男はみんなこんなに即決・即答を求めるわけ?
先輩の背中を見つめて、私はわなわなと怒りに振るえる。
『透明!』
気がつけば、私はその背中に向かって、そう叫んでいた。
先輩はユックリと振り返り、私の顔を不思議そうな顔で見つめてきた。
『透明?』
『……私の恋は透明…ですけど!』
勢い、そんなんで答えてしまったけど、先輩は一度視線を反らし、横を向く。
『透明ってさ、あんたの恋は色なしなわけ?』