この恋、きみ色に染めたなら







『何その間抜けな返事。
 俺、待たされんの嫌いだから、即答出来ないならさ?
 さっきの質問、答えてくれなくていいから』








先輩は踵を返して、元来た道へ戻っていく。






比呂もそうだけど、なんで私の前に現れる男はみんなこんなに即決・即答を求めるわけ?




先輩の背中を見つめて、私はわなわなと怒りに振るえる。












『透明!』






気がつけば、私はその背中に向かって、そう叫んでいた。











先輩はユックリと振り返り、私の顔を不思議そうな顔で見つめてきた。











『透明?』








『……私の恋は透明…ですけど!』






勢い、そんなんで答えてしまったけど、先輩は一度視線を反らし、横を向く。











『透明ってさ、あんたの恋は色なしなわけ?』













< 9 / 324 >

この作品をシェア

pagetop