この恋、きみ色に染めたなら
『…古里さん……』
先輩が描いた、その絵の前で大粒の涙を流す私に柳先生はやってきて、私の背中をさすってくれる。
『……好き、なんだね、成田君のこと……』
柳先生の言葉に、もっと涙は溢れてきて…
この涙を止める術を私は知らないー…
頬を流れていく涙は、あごのところまでくると一気に下へと落ちていく。
スカートを握りしめ、なんとか涙を止めなきゃ、そう思う。
だって、もう先輩がくるはず、だからー…
きっと、柳先生に頼まれたものをこの部屋に運んでる。
だからそろそろ先輩もこの部屋に来るはずー…
『…………先生……。
急に泣いたりしてごめんなさい…。
もう……先輩…来る、と思うから…。
今、私がこの部屋に入ってしまったこと、この絵を見てしまったこと、全部内緒にしててください…。
先輩との約束…破っちゃったけど……でも先輩は今ここにいないから…。
先生と私の秘密にしてもらえれば…この部屋に入ってないって…そう言えるから…』
私のその言葉に、柳先生はただ首を縦に振ってくれたー…
柳先生だって…
私の嘘に協力してくれるんだ…
肝心の私が泣いててどうする…
早く泣きやまなきゃ………
そう、自分に言い聞かせた時だったー…