この恋、きみ色に染めたなら
少し歩いた所で、先輩の足が止まる。
『先生、アイツ、この部屋に入りました?』
先輩はそう問いかけたー…
先輩が今、どんな顔でその問いかけをしたかは分からない。
でも、怒ってるような、怪しんでるような、そんな感じの声が私の耳にも聞こえてくる。
『と、いうよりも。
この部屋にアイツを入れました?』
『…ど、どうして?』
『アイツがこの部屋に入ってないなら、それでいいんですけど』
『彼女は、ここへは入ってないわよ。
隣の美術室に運んでもらっただけだから…』
『…そうすか』
『彼女だってこの学校の生徒よ?
どうして彼女がこの部屋に入ったか、気にするの?』