彼はクールな総長様【完】
私が【夜叉】だということ
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「………。」
「………。」
朝食を終え、部屋に戻った私達
向かい合ったソファに座ったものの…
仁も私も口を開かない
ただ無言のまま、時間が過ぎていっている
この沈黙を破ったのは勿論私
「話ってなに?」
「………。
お前は…」
「やっぱり昨日、見ちゃったんだね?」
「あぁ…」
「そう、私は【夜叉】
伝説の暴走族、ー焰ーの元総長」
やっぱり…
やっと居場所が出来たと思ったんだけど
それは私の思い違いだったみたい
今の仁の表情は
その事実を知りたくなかったかのように
私と目を合わせようとはしない
分かってたはずなんだけどな〜
私の状態を知れば、誰も私に近づかないと
それが今、
今日だっただけ
「私はー鑑ーにいちゃいけない存在だったんだよ。
今まで黙ってたことには謝る
けど、私は騙してたなんて思ってない
やっと見つけた私の居場所だったんだから
ゴメン、もう行くね」