うさぎのアンちゃん。
アンちゃんとお星様
アンちゃんはうさぎ。
独りぼっちは少し苦手。
友達は.....まだいない。
好きなものはたくさん。
嫌いって、なぁに?

アンちゃんは夜になると、
お星様とおしゃべりができるの。

【あら、アンちゃんこんばんは】

「こんばんは、お星様!今日はね、
お花でかんむりを作ったの! 」

【ステキね、アンちゃん】

「シロツメクサとクローバーと、 いっぱいいっぱい編んだのよ! 」

【そうなの、もっと近くで見たいわね】

「そんなの簡単よ! お星様が降りてくればいいんだわ! 」

【アンちゃんごめんなさい、それはできないの...】

「どうして? 」


お星様は困ってしまいました。
だって降りて行ったらもう二度と
アンちゃんと会えなくなるから。


「ねぇどうして? 早く近くにきてよ、お星様! 」

お星様はすこしとまどい、
そして優しく語りかけました。


【そうだわアンちゃん、かんむりを もっともっと作って見せてくれるかしら? たくさん作ったら、今のかんむりよりも上手になるわね? そうしたら、私につくり方を教えてちょうだい? 】

「わかったわ! お星様、約束ね! 」

【そうね、〝約束″よ】

「でも、どうしてわかったの? 実はねこれ、初めてつくったのよ! 」

【アンちゃんのことはよく知ってるわ? 夜しか会えないけど、ずっとアンちゃんのことを見てきたんですもの】


そう。
お星様は夜にしか現れません。
だけどアンちゃんが生まれてからずっと、アンちゃんが産まれたあの夜からずっと、お星様はアンちゃんを見守ってきたのです。


そしてなぜアンちゃんが独りなのか知っているのも、お星様だけなのでした。


「だから私、夜がスキ。お星様と会える夜が好き。お昼はお昼でお散歩するけど、お星様がいたらきっと楽しいわ? 」

【私はこの静かな夜に、アンちゃんとおしゃべりできるのがすごく楽しいのよ? いつも待っててくれてありがとう。アンちゃん】

「ううん、いいのよ...ふぁ〜....お星様ぁ、これ...作ったときね......」


アンちゃんはそのまま眠ってしまいました。


【アンちゃんありがとう。あなたは本当に優しい子。かんむり、近くで見たかったわ...。手にとって、褒めてあげたかったわ...。私が星でごめんなさい。〝どうかアンちゃんに近くにいれるお友達ができますように...″】

そうお星様は願い、アンちゃんに葉っぱのふとんをかけてあげるよう、木々たちに頼みました。

そしてアンちゃんが眠っている間お星様は、やわらかな光でずっとアンちゃんを照らし続けるのでした。


朝を迎えるまで。

< 1 / 8 >

この作品をシェア

pagetop