Black Angel―愛されし現姫―
「みんな…?みんなは、あたしのコト、信じてくれないの…?」
小さく零された声は、震えていて。
「あたし、裏切ってなんかないよ…っ」
少女の瞳から涙が溢れる。
大粒の雫は頬を伝い、倉庫の床に染みをつくる。
「―――しつこいなぁ。何度言わせたら気が済むの?」
愛らしい顔立ちをした少年が眉を顰め不機嫌そうに言葉を吐く。
「君は、イラナイ者だった。それだけのことでしょ?」
「っな、で…なんでっ!なんで信じてくれないの!」
冷たく吐き出された言葉に涙は余計溢れる。
嗚咽混じりに叫んで。
気持ちを全部、外に出すように。
「―――うるさいわ」
リン、と鈴が鳴るような綺麗なソプラノの声が倉庫に響いた。