晴天のへきれき?
着信履歴で会社にかけた。


小さく、コール音が鳴る。


一回。



二回。



三回。



四回…



やっぱり、もういないだろう。

もう、22時になってるし。

諦めて、切ろうとした時。


『外資企画課の室井です』


無愛想な声に息を吐いた。

「チーフ。外線に出る時、株式会社ベルテスって言わないと」


思わず駄目だしすると、横で吉岡さんが笑った。


『朝倉?』

「あ、はい」

『どうした。こんな時間にかけて来て』


なんて言えばいいんだろうか?


田崎さんが恐いんで、迎えに来て下さい?


いや。

この時間まで残っているって事は、室井さんは残業してる訳で。


邪魔しちゃ悪いかも……


『朝倉?』

「…あ。いえ、なんでもないんです」

目の前で、吉岡さんが呆気に取られた顔をする。


だって。

なんて言えばいいの?


『朝倉』

「はい」

『君は意味もなく、電話をする人間ではない。何があった?』


そう。

確かに、普段の私なら、意味もなく電話をしない。



思った瞬間に涙が零れた。
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