晴天のへきれき?
「先輩?」


木村に呼ばれて、我に返った。


「何?」

「手元がお留守になってますよ」


綴じかけのレジュメ。


それを見て苦笑する。


これは参った。


「木村ぁ?」

「なんですか?」

「人の心は難しいな」

「そ、そうですね」


また手元を動かしながら、首を振る。



いやぁ。


年下は有り得ないデショ。

だいたい男性は年下の女の子が好きだし。

そもそも、ああ言う美形はモテるし。

彼女はいないみたいだけれども、彼ならすぐに見つかるだろうし。


うん。


ないない。


ガチャガチャとレジュメを完成させて苦笑する。


だいたい、理想がそんな感じってことか。


ハードル高そうだなぁ。

これは、少し女を磨かねばならないな。


「木村ぁ?」

「はい?」

「今度、相談に乗ってもらってもいい?」

その言葉に、事務チームが沈黙が広がる。

「……なんか私、おかしい事を言った?」

思わず見回すと、木村が重々しく頷いた。

「先輩が私に相談って、おかしいと思います」

「仕事のことじゃない」
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