晴天のへきれき?
「で、どこら辺が解らないんだ?」

「あ、はい。この単語なんですけど……」

「ああ、これは…」

書類を見せながら、こそっと視線を天上に向ける。


元来、女の子とは、可愛いマスコットが好きだ。

会社勤めになっても癒しを求め、デスクの上に飾る子も多い。


無表情に、淡々と答えてくれている室井さんの背後には、そのマスコットがいくつも揺れていて。


見ちゃ駄目。


見たら絶対に笑う。



「朝倉…聞いてるのか」

「はい! 解りました。ありがとうございます!」

なんて言って、モニターに向かう。

「……そうか。また、解らなければ言ってくれ」

淡々と呟いて、室井さんも木村の席で、ファイルを開いた。



まぁ───……


ただ、人間様々で、必ず間の悪い奴はいるもので……

「ぶはっ」

高瀬の盛大な吹き出しに、私と室井さんは同時に顔を上げた。

「室井、お前。マルティちゃんが似合わねぇ!」

「マルティちゃん?」

訝しげな室井さんに、高瀬は木村のデスクの上の、丸~いマスコットたちを指差す。

「その丸っこい人形だっ」

室井さんもデスクの上の、やたら丸くてファンシーな人形たちを見る。
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