晴天のへきれき?
『烏龍茶をひとつ』


声がハモって、室井さんと顔を合わせる。


「朝倉は飲め」

淡々と言われて首を振った。

「飲めない人の前で、一人だけ飲めませんって」

「こないだは飲んだだろう」

「あれは、室井さんが飲ませたんじゃないですか」

「いいから飲め」

「嫌です」

「酒好きだろう」

「遠慮します」

「あのぅ……」


本当に遠慮がちな声がして、店員さんを見た。


「コーラひとつ、烏龍茶をふたつで」

ニッコリ微笑むと、店員さんもにこやかに微笑んでくれる。

「かしこまりました♪」


そして店員さんが居なくなると、高瀬は思いきり吹き出した。


「お前ら、気付けば仲良しだな」


へ?


目を丸くすると、室井さんは首を振る。

「別に、仲良しにはなりたくないです」

ちょっと、何その言い草。

「僕はそんな事、望んでもいませんから」

て言うか、ムカッ。

「あー……お前なぁ、その言い方だと、誤解を受けるぞ?」

高瀬の呆れ声に室井さんは私を見て、首を傾げた。


「朝倉が何故怒る?」

いや。

私にも解りませんから。

と言うか、うん。

今の言動のどこを無視しろと言う?


「別に、食べる物を決めちゃいましょう」

メニューを室井さんに差し出した。
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