晴天のへきれき?
「朝倉皐月って事務の女。まるっきり使えない」


私のこと?


田崎さんの声に瞬きする。

室井さんと高瀬が、同時に私を見て、

「使えないって、築島はどうしたんだよ。営業課の」

もう一人男性の声がした。

「あ~……あの女? なんか見合い薦められたとかで、俺に結婚しろって迫ってきたから捨てた」

「うわっ。お前、サイテーだな」


ケラケラと笑ってる。


「まぁ、高瀬のアシスタントだったから、いい情報源にはなったがな」


情報源。

高瀬の隣で働く、キビキビとした築島さんの姿は何となく覚えている。


「それで? 築島はもう使えないんだ?」

「さっさと辞めて実家に帰ったらしいぜ」


築島さんは、もういない。


「じゃ、今度は室井の補佐を抱き込めばいいんじゃないのか?」

「室井にアシスタントはいないって。人事に手ぇまわして、アシスタント候補は全部こっちにきてるし」


まったく決まらない、第二外資企画のアシスタント。


「何お前、人事の女チーフとも出来てる訳?」


田崎さんの、軽い笑い声。


「あの手のお局は扱い易くていいぜ。結婚ちらつかせば、何でも言うこと聞いてくれるからな」


大きく息を吸った。
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