晴天のへきれき?
「…………」


我ながら、訳がわからなくなってる。


ちょっと冷静になろう。


きっとショックを受けたのは確かだ。


"あの女は使えない"

自分なりに仕事頑張って来て、事務の管理職としては自負がある。

"好き好んで、あんな年増を相手にしない"

うん。

29歳だから、若くはないのは知ってる。

知ってるけど……


そうかぁ。

"使えない女で年増"

なら、誰も相手にしてくれないってことか……


これは嫌だな。

やっぱり男の子は、年上は好みにならないものか。

口ではなんとでも言えるよね。

仕事が終われば、私はどっからどう見ても寂しい女だし。

同情して、励ましてくれる人もいるだろう。

同情とか、それはなんか嫌だな。


何故……嫌なんだ?

どうして男の子が、年下好みなのが嫌なんだ?

年上の男の子が、望み薄いから?

いや。

そうじゃない。

そんな漠然とした感覚じゃない。


だからと言って、田崎さんが好きだという訳じゃない。

これはハッキリしてる。

あの人とは、きっと根本的に合わないと思う。


じゃあ、何故……



「朝倉」



低い通る声が聞こえて、顔を上げた。
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