晴天のへきれき?
「あの。帰れなくなりますから」

「心配しなくても、送っていく」

いや、そうじゃなくて。

「返して下さい」

「返して欲しいか?」

「当たり前です!」


涼しい顔の室井さんを睨んだ。


「ふぅん?」


ふぅん……て。

何?

久々に鬼畜モード?


「待っていろ」


室井さんはそう言うと、スタスタと公園を出て行く。


てか、ミュール……


道路の方でバタン! と音がして、また室井さんが戻って来た。


「ミュールは……」

「車の中」

そうじゃなくて!

「とにかく、下りて来い」

「靴なかったら、砂利で足が痛いです」

「いいから」

「室井さんがよくても、私はよくありません!」


睨み続けると、室井さんは無表情に指を3本掲げた。


「朝倉。3つの選択肢がある」

「はい?」

「このままここで夜を明かす。裸足で家に帰る。俺の言う事をとりあえずきく」


どれも嫌だ。


だけど

このままいても大人げないので、とりあえず……最後の一段まで下りる。


「あの……」


振り返りかけて、ふわりと視界が急転した。
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