晴天のへきれき?
「なんか食いに行くか?」

「あ。いえ。部屋に戻ってバタンキュ~します」


さすがに、今日はフル回転で疲れてるし。


室井さんは、車を出しながらちらっと私を見た。


「疲れた?」

「ん~。面白かったです」

「……朝倉は、何に対しても一生懸命だな」

「嫌々やるよりは、楽しんだもの勝ちですから」

ニッコリすると、室井さんは眉を微かに上げる。

「3年前と同じ台詞だ」


言われて瞬きした。


「3年前?」

「……新人研修に、朝倉も来ただろう?」


考えてみる。


3年前とすると、まだ管理の補佐をしていた時だ。

そういう、面倒な行事には参加してた気がする。

けど、堂々と何か発言した覚えはないんだけどな。


「レクリエーションの時。俺と話したの、覚えていない?」


レクリエーションは覚えてる。

なんでも山の上に神社があるとかで、社会人なのに登山だった。

「何か話しましたか?」

「同じ台詞を」


言われて手を打つ。

山登りに辟易してた新人に、そう言った覚えがある。


「あれは、室井さんでしたか」

黒い帽子を目深にかぶって、一人で行動しがちな新人君。
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