晴天のへきれき?
って、事は。

「3年でチーフとは、エライ早い出世ですね」

「杉下室長に感謝だな」

「あ~……そうですね。最初、外資企画課を新設にあたって、早良さんとこから……って話もありましたし」


窓の外を眺め、通り過ぎるネオンを見る。

ただ、うちは完全な日本企業だから……

悲しいかな、今時にしては英語のスキルを持つ人材が限りなく少ない。

世の中のグローバル化を考えると、情けないほどに古い企業に属する。

管理職の木村ですら、日常英会話は楽勝らしいけど、ビジネス英会話は苦手って言うし、論文程度の英語書類にも難色示すし。

それ故に、外資系に対する特設課を、新たに設けることになった訳だけどね~。


「企画室に来る前は、どこの部にいたんですか?」

「第一営業部」

「第一……」


バッと室井さんを見た。


第一と言えば、いわゆる飛び込み営業マンの宝庫だ。

やり手も多いんだけど……


「室井さんが、笑顔振り撒いていたんですか?」

「……俺が契約とったのは、一社だけだな」

目を細めた室井さんに、少し苦笑する。

この無表情を、営業部に回す人事がおかしい。

「ただ、その一件がきっかけだったんだろうな」

「へ?」

「グランベルド社の営業担当が、アメリカの人でな」
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