晴天のへきれき?
「……あの。すみません。二人とも忙しかったみたいでしたし…」

「あー。いいって。それより書類は?」

訂正ペンのキャップを取って、書類とフラッシュメモリを受け取る。

書類を見ると、単純な計算ミス。

メモリーをパソコンに入れてデータを取り出した。


「……あの。朝倉さん」

「んー?」

高木さんの声に、顔を上げる。

不思議そうな目と目が合った。


「怒らないんですか?」


はい?


「怒ってほしいの?」

手元に視線を戻し、電卓を叩きながら首を傾げる。


怒って欲しいなんて奇特な人だ。


「いえ、そうじゃなく。経理からってことは、厭味を言われたんじゃ?」

訂正した箇所に、ペンで斜線を引く。

「経理の厭味なんて、子供のワガママみたいなもんじゃない」

あれなら、第三営業部の石頭の厭味の方がむかつく。

訂正データを経理部宛に送信して、高木さんに向き直った。


「高木さん」

「はい」

「貴女は私の部下よね?」

「はい」

「私が言いたいのは、経理部に提出する書類は必ず管理通すこと。それは責任の分担って理由があるからなの。最終責任は私達が引き受けるからさ」

「……はい」

「以上終了。印刷しておくから、後で取りにいって」

データを再保存して、抜き取るとソレを高木さんに返す。


「ホレ。仕事、仕事」


追い返すと、狐につままれたような顔をされた。
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