晴天のへきれき?
「お待たせ……」

エレベーターホールの二人に声をかけ、その視線に回れ右をしたくなる。

「珍しい。私服がスカートの朝倉なんて、入社式以来じゃないか?」

高瀬に言われて、手をパタパタと振る。

「木村の陰謀よ!」

「先輩。せめて策略と……」

「似合うと思うが」

室井さんにまで首を傾げられて、酸欠になりそうになる。


「見ないで下さい!」


叫ぶと、室井さんと高瀬はお互いの顔を見て、エレベーターに向き直った。


「見るなって言われても少し困るよな?」

「ま、脚を見なければ問題ないのでは?」

「そうかねぇ」

「女性は難しいですから」

「あいつは特に難しい」


こそこそ話のつもりかね。

丸聞こえの会話。

木村が微かに笑ったのを聞いて、高瀬が困り顔で振り返る。


それから、タクシーで目的地に向かう事になり。

当然の様に高瀬は木村を連れていき、今度は私と室井さんはお互い顔を合わせた。

「……高瀬がすごい解りやすい」

「こうなる気はしてたが」

「うちの妹分を、泣かせたらただじゃおかないから」

「木村さんなら、大丈夫だろう」
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