晴天のへきれき?
そう言って、室井さんはもう一台のタクシーに向かい、後部座席に二人で乗って、何故かいつもと違って緊張した。


だって、なんか近いし。


スカートが慣れなくて、足に座席のレザーがくっつく感じが違和感MAXだし。

タクシーが動き出してしばらくして、室井さんが口を開いた。

「慣れないのか?」

低い声に、瞬きして顔を上げる。

「制服は慣れてるんですけど」

「朝倉は童顔だから……」

そこで室井さんは言葉をとめた。

「……………」


つ、続きは!?

なんか続きそうな、そんな感じだったけど?

室井さんは咳ばらいして、頷いた。

「お店は高瀬さんが決めたんだが、お酒も美味しいらしい」


あ、明らかに話題変わったけど?


「今……露骨に話題を変えましたよね?」

「いや、これ以上言うと、ただのセクハラ親父な気がする」


そっぽを向いた室井さんにウケた。

淡々と言うもんだから、余計に可笑しいんだけど。

「大丈夫です。逆セクハラをお返ししましょう」

「それのどこが大丈夫なんだ」

「セクハラされる人の気持ちが、解るかも?」

「朝倉なら、叩きのめしそうだな」

「たぶん」

されたことはないけどね。
< 162 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop