晴天のへきれき?
飲む物を決めると、料理の方は木村と私に任された。

いろいろ悩んだ末に面倒になり、コース料理を選ぶ。

「足りなきゃ、追加注文すればいいでしょ」

木村も頷いて、飲み物が来て乾杯した。



「お前ら。初っ端から本酒とは、飛ばすねェ」

「俺はいつもです」

淡々と語る室井さんは、やはり淡々とお酒を飲む。

木村が目を丸くした。

「室井チーフは、お酒がお強いんですかぁ?」

ちょっとだけ、室井さんが躊躇した。

「……けっこう飲む」

や、木村相手にも、シャイなところが炸裂してる。


思わずにへらっとすると、室井さんにちらっと見られた。


……この人、鋭くて困る。


「朝倉」

「はい」

「落ち着いて座ってろ」


何が……?


「お前、スカートなの忘れてないか?」

言われてバッと座り直す。

「み、見えましたか?」

「ギリギリかな」

ええい!

淡々と言うな! 淡々と!

しかも、ギリギリって……!

室井さんはジャケットを脱いで、差し出して来る。


「あ。掛けますか?」

「違う」

バサッと膝に置かれた。


「……………」

「あはっ。チーフは優しいですね」

木村の楽しそうな声と、膝の上のジャケットにポカンとした。
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